上唇小帯の問題とは

上唇小帯は、上の唇の内側にあり上の前歯の間に伸びているヒダのことです。この小帯の生理的な機能は上唇の運動を制限して上唇の位置を固定するのに役立っていると言われています。通常、3歳ぐらいまでに付着部が前歯の間の位置から遠ざかっていくのですが、時々遠ざかっていかず前歯の間に硬い組織層として残存してしまいます。上唇の運動制限や正中離開や歯ブラシが当てにくいためにおこる虫歯や歯肉炎を引き起こすことがあれば上唇小帯の切除を考えます。

切除の時期について

ほとんどの症例では小帯の位置や形態は生理的に変化していきます。小帯の付着部位がより歯冠側にある場合でも側切歯の萌出によって小帯は委縮します。それに伴い正中離開が治ったという報告もあります。口唇の運動を著しく抑制し日常生活に支障をきたしている場合を除いては、まず永久側切歯の萌出完了(7歳~8歳)を待ちます。もう少し待てるなら犬歯の萌出完了を待ってからでも遅くはない場合もあります。あまり小さな時にすると子どもの恐怖心を与えたり、暴れることで満足な処置ができないことも考慮にいれます。

上唇小帯切除術について

外来で局所麻酔下で20分ほどの処置となります。

マウスピース矯正の時期

犬歯の萌出を待っていればマウスピース矯正の適応時を逃してしまう可能性があるので上唇小帯の状態とは関係なしに、その年齢の歯並びや咬み合わせに応じてマウスピース矯正を始めます。