咬合機能に障害を有する場合には前歯の被害のみの反対咬合がありますが、この場合は永久歯に交換する時に正常位になる可能性をもっています。しかし、機能的に長い年月異常な状態が続いた場合は永久歯咬合に移る場合、その不正の状況を継承してしまうことも少なくはありません。乳歯列弓での不正咬合のあり方は、そのほとんどがこのような性質のものであります。一般に乳歯列期では不正咬合の種類は少ないと言われています。

1)乳歯列の反対咬合

主に前歯の反対咬合が多く、最も頻度の高い不正咬合です。中には骨格型もあり、咬合型のものとは全く成因も予後も異なるので観察に注意が必要です。

2)乳歯列交叉咬合

この不正咬合も乳歯列期に意外に多くみられるものです。乳歯列では治りやすいのですが、そのまま永久歯列になると困難な症例に移行するので、乳歯列期での早期発見・早期対応が必要です。

3)乳歯列過蓋咬合

これもよく見られる不正咬合です。乳前歯の被蓋は普通は垂直に近い咬合関係にあるので、永久歯に移行する時にいっそう被蓋が深くなる傾向もあり、乳歯列期での早期対応が望まれます。

4)空隙歯列弓

先天性欠如歯や小さな歯や大きな顎などのアンバランスにより乳歯列に空隙がある場合があり、口腔習癖なども観察し、生理的な空隙なのかそうでないのかを見極めて、永久歯列への悪影響が最小限におさえられるような対策をとることが重要です。