BWS(The Farrell Bent Wire System)
Dr.Farrellが開発
舌のスペースを確保し機能獲得のためのアーチ拡大を目的としたものです。MRCではマイオブレース、アクティビティと共に重要と考えられています。
歯列の発育を促す装置であり特に前歯部の歯列拡大に効果的です。咬合歯列期後期には顎の成長がほぼ終了します。正しい舌位と歯の配列のためのスペースを十分に獲得するにはさらに拡大が必要です。これはマイオブレースT2でも達成できますが、T1BWSとBWSを併用した方が早く効果的にこの結果を達成できます。(マイオブレースのカタログに記載)
当院ではT2はよく使いますがBWSは使用したことはありません。今後も矯正専門医ではなくワイヤーによる顎の拡大はしたこともないので考えていません。
「前歯部がもっと拡大(成長)すれば」と思う症例も多数ありますが、当院での治療方針はマウスピースとアクティビティでの効果を期待するものです。
BWSについて
Q1:なぜ拡大が必要なのか?Dr.Ahangari
マイオブレースは機能を改善します。BWSは構造(上顎を広くして口蓋に舌がフィットできるようにする)を改善します。できれば「同時に改善する」のが理想的である
Q2:開発の経緯 Dr.Farrell
「同時に改善する」ためマイオブレースが同時に使えるように考えた。他の拡大装置ではマイオブレースが同時に使いにくいので好成績を残せない。
Q3:BWSを使うべき適応症例 Dr.Ahangari
8歳以上の混合歯列期後期に使用します。8歳未満だと機能を是正すればその正しくなった機能で成長発育が誘導されます。しかし8歳を超えると成長が完了に近づいているため機能だけでは誘導することは難しくなります。そこでBWSで手助けをします。
1)中~重度の前歯部叢生の場合。
BWSは前歯部を前方に広げていくのでマイオブレースとの併用で叢生をほどく効果があがります。
2)アーチフォームが平坦化している場合。
口唇圧で前歯部が平坦化している子どもです。口唇の筋肉も同時に是正しますがBWSを使って舌のスペースをつくります。
3)狭いアーチフォームの場合。
上顎骨の自然な成長は前方へ成長します。前方へ広げていくことで舌が入りスペースができ、舌の作用で側方に拡大されます。中~重度の狭窄の症例にはBWSで結果的に幅径も広げる事ができます。
4)前歯部の軽度の捻転の場合。
BWSが1番の遠心にあたってその力で捻転を改善してくれます。
5)前歯部もしくは臼歯部のクロスバイト。
上顎を広げていくとおのずと治っていきます。