このHPを作って5年近くなりますが
切歯骨というワードを使うのは初めてです
自分なりに少し勉強したいと思います
先に私なりの結論から言うと
2歳半で乳歯列は完成しており
切歯骨の発育だけに注目すると
5歳前後で何かをしても
切歯骨の成長はあまり変化はない
しかし正しい舌の使い方をおぼえるのは
その後の上顎全体の発育に関しては重要
正しい舌の役割(位置や機能)が最重要
切歯骨は写真の青で示した範囲の1つの骨です
上顎にしかありません
6歳頃に成長が止まると言われています
では早く何かをしないとダメなのか
そうではないと思います
2歳半以降は大きな変化はないと思います
もしするなら2歳半までの方が効果的です
哺乳や食事や抱き方や寝かせ方など
1つ目の疑問
なぜ隙間がないのに永久歯が並ぶのか?
→永久歯は角度をつけて生えるから
乳歯上顎前歯の歯冠近遠心的幅径が約24.3mm
永久歯では約31.9mm その差が約7.6mm
でも永久歯前歯は乳歯より傾斜して生えるので
その差がカバーできます
唇側に骨の添加も少しあります


2つ目の疑問
切歯骨の発育は何をもって評価する?
→空隙?計測?レントゲン?
空隙がないと発育していないのか
空隙があったほうがいいのか
空隙がないとダメなのか

約60年前の論文結果からの私の感想
・空隙があっても半数は叢生(ガタガタ)になる
・空隙はあったほうがいい
・空隙が残る場合もある
最新小児歯科学(第2版)1986の40ページに
乳歯列で前歯部に歯間空隙が存在すれば
切歯の交換には有利となるが必要条件ではない
歯間空隙がなくても
正常な永久切歯の配列も得られる
歯間空隙は永久切歯の配列機構にとっては
有効な要素となる
3つめの疑問
切歯骨は5歳頃に頑張れば発育するのか?
→何をしてもあまり変わらないと思う
→でも舌の正常機能獲得は重要
最新小児歯科学(第2版)1986の33-36ページに
乳歯列は2歳6か月ごろ全乳歯が萌出して完成
乳歯列は完成してから永久歯が萌出するまで
発育による変化は少ない
幅径(横への成長)は第一大臼歯に萌出に
関連して増加がみられるが
長径(前後の長さ)はわずかに減少する


頭蓋における口蓋の成長変化について
Jpn.J.Oral Biol.,30:156-163,1988
この論文では
東北歯科大学口腔解剖第一講座所蔵の
101人のインド人頭蓋標本を測定した研究
(乳歯列21人,7歳前後41人,それ以降39人)

①iからimまでの距離を測定(前後的な発育)
ピンク色の距離
乳歯列完成から成人までで1.01倍
ここに注目 ほとんど変化がない
②乳犬歯のC-Cの距離を測定(横方向への発育)
乳歯列から成人までで1.08倍
当院で経過観察だけの症例
・マイオブレースもしていない
・アクティビティもしてない
・歯磨き指導だけ
乳歯空隙→永久歯も側方は空隙
正中不一致
でもこれで満足されています
2015(4歳)主訴:前歯の変色(経過観察)

2017(6歳)

2019(8歳)

2021(10歳)

2022(11歳)





反対咬合を除き
下顎の永久歯の前歯4本が生えた年齢で
その4本に
歯列不正(叢生や捻転)があれば
歯列不正を起こす原因があると考えます
早期に原因を改善しないといけません
つまり
下顎永久歯前歯4本が生えそろった時期が
マイオブレースの開始時期です