成長の発育期にマウスピースで「歯並び」や「かみ合わせ」が悪くなる原因のお口の周りの「悪いクセ」を改善し正しい方向へと導いてあげる治療法です。毎日頑張ってコツコツとマウスピースを使い続ければ「悪いクセ」は改善されます。成長発育期の期間内に間に合えば結果として「歯並び」や「かみ合わせも」本来あるべき状態に導いていかれます。

歯並びを気にして当院に来られる子どもの模型で乳犬歯間距離(当院では上顎の大きさの指標にしています)が約8割の方が平均より小さいです。マイオブレースをして成長を促しますが2~3年後も測定するとやはり平均よりは小さいです。その中で満足してもらえるかどうかです。

あごは小さいがバランスの良い歯並び

本格的な矯正の様に顎を無理に拡大してワイヤーの力で歯を動かすわけではないので、もしマイオブレースを同じような使用方法をしていても個人差はあると思います。やってみないとわからない方法です。頑張ってもあまり変化のない場合もあります。

失敗例ではありませんが、本人にやる気がない、家族のサポートが続かない場合などでマウスピースを入れていなければ何も変わりません。そしてあっという間に成長発育期が終わります。

やる気があっても、やってみて実感すると思いますが、理想的な毎日の装着とアクティビティはかなり困難です。開始年齢や歯並びにもよりますが5年以上かかる場合もあります。それでもきれいになるかどうかはわかりません。

以前の調査ですが2年以上経過した70名中62名(88%)は「とても満足・どちらかと言えば満足」との結果でした。また8名は期待ほどではなかったとの結果でした。

それと、「爪を咬むクセ」をしている子どもが3人ほどいて、なかなかそのクセがなおりません。そうするとどうしても下の顎が前にでてきてしまうので、爪を咬むクセを治してあげたいのですが、マウスピースは爪を咬むクセは治せないので今後の課題です。

失敗例ではないのですが、例えばマイオブレースをする前に別の医院で床矯正など別の治療を行い上顎がきれいにそろったので下のガタガタはマイオブレースで治したいといわれ使用したところ、きれいにそろった上の歯並びが乱れた経験はあります。保護者の方もせっかく上がきれいにそろっていたのにと言っておられました。

これも失敗例ではないのですが、きれいになっても6歳臼歯の後ろの歯の7番目の歯が生えるまで(約14歳頃)まで保定をかねてマイオブレースを使う事を推奨していますが、みなさん中学生になると忙しくて来られなくなるので、久しぶりにくると少し前歯がガタガタなっている場合も時々あります。

それから例えば6歳の初診時に反対咬合の兆候(1本だけでも反対、下顎前歯が舌側に傾斜、下顎の6歳臼歯が正常より前で咬んでいる、横顔が少し顎が出た感じ、唇あたりが緊張しているなど)がある場合に成長と共に徐々に下顎が発育し2~3年後に反対咬合になる場合が稀にあります。下顎の発育はマウスピースではおさえられません。

この下顎の過成長は一番ショックです

もともと乳臼歯の近心咬合型や6歳臼歯のⅢ級咬合などでスタートする場合は、難しいという事を説明をさせて頂き、マウスピースで奥歯の咬み合わせがⅠ級正常咬合になることも時々あり、すごくうれしいのですが、逆に10歳頃までは問題なく順調だったのに突然下顎だけが過成長で上下のバランスが崩れ、骨格性(6歳臼歯のかみ合わせが正常より前方のⅢ級咬合になります)の反対咬合になった場合などマウスピースだけではコントロールできません。当院でも頻度としては300人中3人ほど経験し、早期に矯正専門医に相談するよう勧めました。

顔の前後軽は3歳で上顔面は80%、下顔面は69%完成しています。そして14歳までに上顔面は15%、下顔面は22%増加していきます。家系に遺伝的要素が見当たらなくても下顎の過成長が起こることがあります。

過剰歯や永久歯の埋伏や乳歯の早期脱落などは多種多様なので個々の患者さんに応じて、できる事できない事を説明いたします。

マウスピースをはめることにより基本的には悪習癖が改善され良いのですが、歯並びや咬み合わせに関しては予想とは違った動きをする場合があります。なので「全体的には気に入っているのに、ここをもう少しだけ」と思うくらいの場合は判断が難しいです。「やらなきゃよかった」という結果になる場合も0%ではないです。マウスピースをはめればすべて良い方向へ行くとは限りません。

開始前には予想することはできませんが、全体の2%くらいの割合で一時的に前歯が奥歯より先に当たる(咬む)状態になり結果として奥歯が当たらない時期があります。使用継続して再度奥歯が咬んでくることもありますが、なかなか改善しない場合は使用を一時中断します。今のところ使用中断で奥歯は再度咬んできますが、再開する場合も奥歯の咬み合わせが一番重要なので慎重に診ていく必要があります。この現象も先に書きました「簡単にすべてが良い方向に行く」わけではなく1人1人に違い(年齢・成長・使用方法など)があり慎重に診ていく必要があると思います。

★保護者の皆様からの声(当院のLINEより)

悩んだ症例の1つ

あくまで当院の経験からの難易度

条件として

①最低毎日はめて寝る

※アクティビティはしてもしなくても

できれば

毎日3分当院のアクティビティをして下さい

②マウスピースのみ(BWS未使用)

A:比較的改善しやすい

・下顎の叢生(下の前歯のガタガタ) 写真

上顎前突(歯性)(出っ歯) 写真

正中離開(あごの大きさによる)写真

過蓋咬合

B:中ぐらい

・乳歯列期反対咬合 写真

八重歯(上顎犬歯の低位唇側転位)

・正中の不一致

・あごの成長

・翼状捻転(上顎中切歯の捻転)

C:かなり難しい

上顎側切歯の口蓋側転位

・上顎側切歯の反対咬合

・上前歯萌出後の反対咬合(骨格性Ⅲ級)

・乳臼歯の早期喪失で

6番の近心傾斜がすでにあり

3番+4番+5番のスペース不足

・あごの大きい場合の空隙歯列

・V字型歯列弓➡U字型へ

・個々の歯のかなりの傾斜

開咬(前歯が咬んでいない)